化学物質体内動態モデル及び曝露逆推計モデル構築システムの開発

 私たちが日常生活を送る上で化学物質は欠かせないものであり、様々な化学物質を利用することで便利で快適に暮らしています。それらの化学物質は多様な製品や環境に含まれており、普段の食生活やパーソナルケア製品(シャンプー、ハンドソープ、基礎化粧品等)の使用を通じて私たちの体内に取り込んでいます。一方で、これらの化学物質の中には、ごく一部に体内に残りやすいものや健康影響の疑われるものもあり、社会的にも問題となっています。化学物質の影響を評価するには、私たちが何を通じて(ばく露源)どれくらい体内に取り込んだか(ばく露量)、取り込んだ化学物質がその後体内のどこに分布してどのように排泄されるか(体内動態)を知ることが必要ですが、化学物質は目に見えないため、いつどれだけ取り込んだか把握することは非常に困難です。我々の研究グループでは、身の回りに存在する化学物質に着目し、食事やパーソナルケア製品からどれくらい体内に取り込んでどのように排泄されるか、を測定することで、化学物質の体内動態を明らかにする研究に取り組んでいます。

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殺虫剤散布作業による殺虫剤曝露と健康影響に関する研究

殺虫剤を取り扱う作業者の健康管理や曝露評価に対する関心が高まっています。労働安全衛生法に基づく事業主の義務がいくつかありますが、科学的な治験が少ないために、いまだに十分にリスク評価されていない化学物質がいくつかあります。殺虫剤(種類にもよりますが)もそのうちのひとつで、衛生管理や農業分野で多く使用されていますので、今後ますますそのリスク評価が急がれます。私どもは殺虫剤使用者の殺虫剤に対する曝露状況やそれを把握するための指標(バイオマーカーなど)づくりを主な研究テーマとして、いくつかの事業所の協力のもとに基礎的な情報を構築しています。本研究では日常的に芝生や樹林の維持管理の目的で殺虫剤を散布する作業者を対象に、散布中の気中殺虫剤濃度、尿中に排泄される殺虫剤類(バイオマーカー)をモニタリングし、保護具装着や散布方法の現状把握を目的として、また簡易的な健康調査も併せて実施することで、今後の調査の基礎データを収集する予定です。対象となりました皆様には、研究の内容をご理解いただきましてご協力いただければ幸甚です。

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