このページでは、研究課題「クラウドソーシングによる蚊の省力的空間分布把握システムの活用」に関する詳細な説明が記載されています。お読みいただきご賛同いただけましたら、調査へのご協力を宜しくお願いいたします。

下記説明書のポイント

1)蚊に刺された(蚊を見た)という皆さんの情報をスマホやPCから調査します。

2)主に公園や学校等の公共施設など、自宅以外での蚊の情報をお待ちしております。

3)個人情報は一切扱いません(GLOBAL IDはランダム化されて収集されますので、端末も同定されません)

4)収集した情報は、これまでの蚊に関する調査法の代替法と成り得るかの検討や、蚊の被害実態の理解、将来的には蚊の被害予測や予防法を提案するための基盤情報となります。

別記様式第3号(2017年12月26日版)

 

 

 

説 明 書

 

                                                              

 

1.研究の趣旨

 

(1)研究目的、意義と研究参加へのお願い

 

 感染症発生時対策として、また安全かつ効率的な防除作業を実施するために平常時より地域特有の蚊成虫生息状況を把握しておくこと一般市民に安全を提供する観点から行政上重要な取り組みです。しかし、職員等による現地調査では結果の再現性が悪く、多数のポイントで継続的に調査を実施することは困難であるため、定量的な生息状況を市民へ発進することは難しいという状況です。また、現地調査に関わる職員(調査員)の蚊の穿刺被害が考えられ、新たな調査方式の開発が望まれています。

 

 本研究では従来の蚊成虫生息状況の調査方法の補足的あるいは代替的調査法の開発研究をします。また、この方法を応用した結果として、蚊の被害実態の理解や将来的には蚊の被害予測や予防に情報を利用するための基盤情報を構築できます。整理した情報はみなさんに還元する予定ですので、どうぞご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

 

 なお本研究は、名古屋大学医学部生命倫理委員会による承認を受けて実施しています。

 

 

 

(2)研究参加の同意表明の任意性と、表明後の同意撤回の自由について

 

 本研究への参加・不参加は自由に決められます。参加しなくても不利益はありません。Web入力システム中で「同意する」を選択して「送信」ボタンをクリックした場合、その情報は研究用に使用されます。送信された情報は一切の個人情報を含んでいないため、あなたの情報のみを削除することは不可能ですので、同意の撤回はできません。あらかじめ御了承ください。

 

 

 

 

 

2.研究計画の説明

 

研究題目

 

クラウドソーシングによる蚊の

省力的空間分布把握システムの活用

研究機関名

名古屋大学大学院医学系研究科医療技術学専攻

研究責任者の職名・氏名

准教授・上山純

研究分担者の職名・氏名

 

修士2年・浜田梨沙

学部4年・余合結

共同研究機関名・責任者の氏名

岡崎市保健部生活衛生課・主任主査・中根邦彦

(ただし、共同研究機関や責任者が追加される可能性があります。)

対象とする方

本研究に関するチラシ等を見られた方。岡崎市内の公共施設にて蚊に刺されたか蚊を見た方。また、お子さんが蚊に刺された保護者も対象とします。未成年者からの入力は対象外とします。

調査する全ての資料項目

 

研究のために実施する調査・検査項目:

年齢、性別、蚊の穿刺被害状況(地理、時間、穿刺部位等)、本調査への意見等

(ただし、生命倫理審査委員会の許可を得て、調査資料項目が追加される可能性があります。)

研究期間

実施承認日から2023331

 

 

 

(1)研究目的・予測される結果

 

 平成26年に国内で約70年ぶりに、蚊が媒介する感染症である「デング熱」の国内感染が発生しました。さらに、今後の温暖化の影響による蚊媒介性感染症のリスクが高まる見込みであること(環境省 地球温暖化と感染症)から、蚊の穿刺被害の予防対策や単に穿刺による不快やとびひなどの二次被害から市民を守ることの基盤となる蚊の生息調査の発展が必要です。蚊の生息に関する調査におけるヒト囮法(ひとおとりほう:調査員に8分間で近寄ってきた蚊の数をカウントする方法)の長所は、一般的に「短時間で結果が得られる」「蚊のサンプルを取得できる」とされています。短所は、「調査者の人数が必要である」「調査回数を増やせないため、調査者間の差を少なくすることが難しい」「調査員の感染リスクがある」などが挙げられます。蚊の発生(活動)状況は気候の変化に伴い1週間程度で激変するため、可能な限り短い間隔での調査が蚊の穿刺被害軽減に役立しますが、ヒト囮法の調査者にも限界があります。

 

 本web入力システムによる調査はヒト囮法による蚊の発生状況調査の代替え法になりえるかを検討します。また、蚊に刺された方たちの特徴を把握します。すなわち主要評価項目は、ヒト囮法とweb調査結果の比較とweb調査結果の特徴の理解、副次評価項目は、蚊の穿刺被害発生状況の予備的な理解です。

 

 基本的にはヒト囮法は蚊の生息状況を、web入力による調査は蚊の穿刺被害を調査するという点から、それらの数値にズレが生じることが予想され、それぞれの方法の特徴を相対的に評価することができます。また、これまでに蚊の被害に関する調査は世界的にも報告が少なく、将来の衛生害虫被害低減のための基礎調査でもありますので、何卒ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

(2)研究への参加をお願いする理由

 

 岡崎市を選んだ理由は、市職員の方々の協力が得られること、市内には都市部も農村部も存在し、生活環境としては日本全体と比較して極端に偏りがあるとは言い難い地域であることから選定しました

 

 

 

(3)研究方法

 

 本研究には3者が関与します(自治体、大学、情報提供者(調査対象者))。情報収集基盤は大学で開発・管理・運営し、自治体と大学が協議しながら本調査の評価を行います。

 

以下に調査実施スケジュール等研究方法をお示しします。

 

調査実施スケジュール

 

2019年度:web調査、ヒト囮法

 

2020年度:web調査、ヒト囮法、web調査とヒト囮法による結果の比較検証

 

2021年度以降:結果の検証と研究成果の発表等

 

なお、Web入力システムの利用は2020年度までとします。

 

調査実施場所

 

 web入力は24時間どこからでも実施することができます。岡崎市内の公共施設、たとえば公園、図書館、歩道等(ご自宅以外とお考えください)で蚊に穿刺された(さされた)情報をお送りください。「さされた時」でも「思い出し」でも「自分以外の被害者の情報」でもweb入力できますのでご協力ください。

 

 ヒト囮法は広域で実施することは多くの調査担当者必要となるため、前述のように1箇所を経時的に調査することとします。また、京都市および仙台市のヒストリカルデータを参照したところ、調査地点間でヒト囮法の結果に相関関係がみられるものの、結果のばらつきは存在するため、web調査地点とヒト囮法実施地点を対応させた解析を実施します。

 

web調査と従来法(ヒト囮法)との比較方法

 

 従来の蚊の生息調査方法であるヒト囮法を週一回実施し(場所はweb投稿の状況を鑑みてweb調査開始2ヶ月以内決定、ヒト囮法による調査期間は承認日から202012月まで)、従来法と本調査とを比較します(級内相関係数やκ統計量の算出による)

 

チラシ等の配布方法

 

 自治体が実施する各種イベントでの配布、動物園や図書館などの公共施設でのチラシ設置による配布とします。上山研究室HP内で研究に関する詳細を紹介して研究へのご協力をお願いします。

 

リクルートの手順

 

 配布チラシ→チラシにあるQRコードで入力フォームへアクセスし研究詳細を閲覧→研究参加の場合は入力フォーム内の同意ボタンをクリックし調査回答開始(同意しない場合は研究用に情報を使用せず、自治体のみが利用する)→送信ボタンで回答内容のみ送信されます(回答には1分程度かかります)

 

人囮法による調査の手順

 

 測定地点1箇所に1人がたち、飛来する成虫を捕虫網(直径36cm)で捕らえる。収集時間は8分間とする。網は、蚊がきたときだけ振り、蚊が来ないときは振らずに立ったまま待つ。8分間で捕虫できた蚊の数をカウントして記録。捕虫した蚊は持ち帰らずにその場で放つ。調査は1日につき2回行うが、調査時間は午前中9時前後とする。

 

データの移動

 

 被験者のデータ送信により、情報はESRIジャパン株式会社が提供するクラウドサーバ内で保管されます。データのバックアップおよび解析のため、すべてのweb入力情報をCSV形式でダウンロードし、その保管は、PCとは接続していないハードディスクに保存され、それは名古屋大学大幸キャンパス南館の常時施錠されている引き出し内に保管します。

 

 

 

名古屋大学生命倫理審査委員会に追加で承認が得られた場合、情報の提供時には特定されない将来の研究にその情報が利用されることがありますがあります。

 

 

 

(4)研究終了後における研究対象者への対応

 

 研究終了後には研究室ホームページや岡崎市保健所から研究結果等についてお知らせいたします。

 

 

 

(5)実施計画などをさらに知りたいとき

 

 希望があれば、差し支えない範囲で研究計画の内容を見ることができます。研究代表者までE-mailにてご連絡ください。

 

 

 

3.研究対象者にもたらされる利益及び不利益(起こり得る危険・不快な状態)

 

 すぐに利益が得られるわけではなく、今後34年後のよりよい生活環境づくりの取り組みの一つとなることが利益であり、蚊の被害軽減に向けたエビデンスベースの予防の取り組みに貢献できます。web回答の時間的負担が12分程度かかること、対象者の通信契約状況にもよりますが、本研究に参加することにより追加でインターネット利用料が発生することが、本調査への不参加による不利益となる可能性がある。

 

 

4.研究に参加しなかった場合の対応

 

 なんら不利益を被ることはありません。

 

 

5.個人情報の保護

 

 個人が特定できるような情報や、宗教やその他の思想に関する情報は収集しません。したがって、研究成果には個人情報は含まず、個人を特定できる内容の発表にはなりません。

 

住宅の地理情報を投稿された場合でも、その地理情報を他人に見える形では発表することはありません。

 

6.研究情報の開示

 

 研究対象者及び家族の希望により、研究の独創性の確保に支障が生じない範囲内で研究計画及び研究方法についての資料を入手することができます。また、研究対象者及び家族の希望により、研究対象者個人についての研究データを開示はできません(個人と特定できる情報は扱いません)

 

 

 

7.研究情報の公開方法、また研究結果の公表

 

 研究の成果は、研究対象者本人やその家族の行動等が明らかにならないように、学会や学術雑誌及びデータベース上等で公に発表されることがあります。

 

 

 

8.研究から生ずる知的財産権について 

 

 本研究により特許等の知的財産権が生じた場合は、研究者と研究機関がその知的財産権を持ちます。

 

 

 

9. 研究に利用した試料、情報の保管・廃棄方法について

 

 データの保管場所は、研究代表者のみがアクセス可能なESRIジャパン株式会社が提供するクラウドサーバ内で保管される他、およびバックアップ用にダウンロードしたCSV形式のファイルをPCとは接続していないハードディスクに保存し、それは名古屋大学大幸キャンパス南館の常時施錠されている引き出し内に保管します。

 

 研究終了から10年後に破棄します。匿名化研究データは漏洩・混交・盗難・紛失等の防止のための安全管理策としてパスワードロックおよび施錠保管されているHDDを用い、ファイルについては関係者以外の閲覧や操作を防止します。USBは紛失のリスクが大きいためUSBにはデータを残しません。5年以上経過するとHDD等の機構部分が経年劣化を生じて作動しなくなる可能性が高いので、別途パスワードロックしたDVDにファイルを保存します。

 

 

 

10. 研究用の検査・治療の費用について 

 

 参加することによる謝金等はありません。

 

 

 

11. 研究資金・利益相反

 

 研究の資金源は名古屋大学における運営費交付金にて実施されます。企業や団体等からの寄付や協賛はありません。

 

 

 

12. 同意取得時には特定できない研究

 

 研究対象者から取得した情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性があります。将来の蚊の発生予測システムの構築の基礎情報として本研究で得られた情報が利用されることが予想されますが、その研究について生命倫理審査委員会に申請し、承認を受けたうえで実施いたします。

 

 

 

13. 研究結果を他の機関へ提供する可能性について

 

 可能性はありません。

 

 

 

14. 問い合わせ・苦情の受付先

 

○問い合わせ先

 

研究責任者

 

所属職名氏名:准教授 上山純   (電話052-719-1341、ファックス052-719-1341

 

※ 研究内容やそれに伴う疑問や不安に関しては、上記の研究者にご相談ください。

 

○苦情の受付先

 

名古屋大学医学部経営企画課:(052-744-2479

 

 

 

 

 

2019年 527

 

説明書作成者 上山 純